チップ抵抗の定数ラインアップのうち、0Ωだけは「チップジャンパー」と呼ばれています。試作や調整などではリード線の切れ端等をジャンパーに流用しますが、客先に提出するような回路では見栄えも大切なので、このチップジャンパーを使うことになります。
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ある無線関係の案件で、ループアンテナをプリント基板で製作することになりました。周波数は1.2GHz近辺でいろいろ変えて実験することになります。そのため、ループアンテナのループ長を後から調整できるようにする必要がありました。そこで、ジャンパーの取付け位置を変えられるプリントパターンにして、ループ長を可変できるようにしました。
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調整時は作業台の上に散らかっていた抵抗のリード線と思われるすずめっき銅線を小さく切ってジャンパー代わりにしました。ジャンパー位置を少しずつ変えながらアンテナの反射係数を確認していきます。ちょうどいいジャンパー位置を見つけてから、同じ位置に1005タイプのチップジャンパーを取り付けました。確認のためアンテナ特性を測定してみると、どうしたことでしょう、先ほどの特性が全く得られません。
調整時との違いは「リード線ジャンパー」が「チップジャンパー」になっただけですから、特性劣化の原因はチップジャンパーに違いないのですが、長さ1mmで抵抗値もmΩオーダーの小さな部品です。こんな小さな部品の寄生インダクタンスが影響するなんて夢にも思っていなかったので、測定系の間違いを疑ってみたり、はんだ付けをし直してみたり、かなり時間を割いてしまいました。
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以前、普通のカーボンチップ抵抗(1005)を使ったπ型アッテネータを作って周波数特性を測ったことがあります。かなり気をつけて実装しましたが、所望の特性が得られるのは1GHzまででした。このときは、カーボンチップ抵抗では抵抗値を合わせこむためにカーボン体に切れ込みを入れているため、寄生インダクタンスが大きくなるのが原因だと理解していました。しかし、これと同じことが0Ωのチップジャンパーでも発生するということは今回初めて体感しました。当然ですがチップジャンパーもチップ抵抗なのですね。
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